Reading Time: < 1 minutehttps://www.mbs.jp/news/kansainews/20211115/GE00041054.shtml
レーザー治療で全治6か月のやけど…被害者が医師らを刑事告訴 医療機器は国内未承認
という報道がありましたが いくつか間違いと 問題の焦点のズレが気になったので正確な表現で解説しました。
美容クリニックで死亡事故以外に家宅捜査や刑事事件として報道されるケースは異例です。
美容医療リスクマネジメントとしては、美容医療トラブル発生時の患者様へのフォローや患者様への対応に問題があったため さらに医療トラブル以上に問題が拡大したと考えられます。
まず、この美容医療トラブルは、
レーザー治療で・・・
やけど・・・とタイトルがありますが、文書内では高周波によるものと レーザーではなく
高周波による美容治療の医療事故であることがわかります。
レーザーと高周波は全く異なります。
レーザーは単一波長の光
高周波は電気エネルギー
つまり光と電気 全く異なるエネルギーの種類なのです。
レーザーは シミや入れ墨除去 など主として表皮もしくは真皮浅層へのアプローチの美容治療が主たる領域です。
しかし、高周波は表皮ではなく シワ、タルミ治療に使用されることが主であり真皮下ターゲットとした治療となります。
レーザーと高周波を混同しています。
さて次に 未承認機器 ということでJis●●社という医療メーカーの名称もニュース動画に映っており さらに使用したと想定されます機器 ULTRACell ?のパンフレットと思われる写真も写されていました。
これではまるでこの業者も問題と思われてしまいかねません。この業者が、看護師施術を謳って営業をかけてこの機器の売り込みを行っていたのであれば業者の責務も問われることがありますが常識的に考えてそのような推奨をすることはありえません。本来、医師が必ず行うべき医療行為の治療を看護師が行える医療機器ですと営業することは考えられません。
もちろん未承認機器はいかなる業者も国内では販売はできません。実際は、医師が個人の責任において個人輸入を行い 業者がその個人輸入代行を務めるというのが未承認美容医療機器購入の流れになります。
この場合は当然、リースはできませんので全て現金決済となります。
この報道では未承認機器を使用したから問題?というイメージが視聴者に持たれることを危惧しております。現在の美容医療の世界では美容治療を実施する際には未承認機器の使用することが多くを占めており 未承認機器 = 違法 ととらえられてしまうと美容医療サービスの多くは停止しなければならないのです。
未承認医療機器でも医師の責務において使用することは問題ありません。この医療機関の医師もこの機器を導入することは全く問題なかったはずです。
さて、この事件で問題視されているのが 看護師が施術 ということです。限りなくブラックに使いグレーなどと表現される医療行為です。
医師は最初に出力など指示していたようですが、看護師は流れ作業的?もしくは何かのマニュアルに沿って治療を進めていたはずです。この患者様の術直後の傷痕がネット上にありましたので拝見しましたが2-3度の熱傷。一部皮膚壊死と思われるほどの酷い熱傷部位が認められました。
熱傷は擦過傷や切創とは異なり治癒に時間もかかり瘢痕化しやすく瘢痕収縮なども起こりやすいのです。
術後の痛みも相当酷い状態であったことが想定されます。
看護師のスキルというより 医師が施術中も患者の状態など確認するべきでした。当然術後も。
術後に熱傷による皮膚損傷がわかった時点で、早期に熱傷に対する集中的な治療(私ならPRP療法やサイトカインによる皮膚再生療法と湿潤療法、冷却、炎症の抑制などを徹底的に行い毎日 創部のケアを考えます。)が必要だったはずです。
患者様へ その時の医学的な診断と治療などを詳細に説明し謝罪し できる限りの美容・再生医療を行えば傷跡の治癒促進だけでなく患者様の心の負担も軽減できたことが想定されます。
報道では医療機関への刑事告訴ということですので 医療トラブルの結果だけでなく医療機関の対応に不信感を持って激怒されていたことがわかります。
看護師施術 私はこの治療行為はグレーではなく ブラック つまり法的にも問題ではないかと考えております。倫理的には絶対にNGです。
安いからということで看護師施術を患者様が選択されたようですが 治療費を安くするから本来 医師が行うべき施術や治療を看護師に行わせるのは疑問です。
私は法的な専門家ではありませんが、美容外科医として30年以上美容医療を臨床で行ってきましたが 医師に代わって行う看護師施術ほど 問題が多く 恐ろしい結果を招くのではないかと常に危惧しておりました。
縁があります美容医療メーカーに対しましても過去に何度も看護師施術は問題が起こる、倫理的にも法的にも看護師施術は決して行うべきではないので絶対に美容医療機器を取り扱うメーカーとして営業トークで使用してはいけないと依頼させていただいていました。
快く納得して 看護師施術を勧めない美容医療業者様もあれば、反発され看護師にやらせて何が悪いといった態度をとるような美容医療業者も現実には存在します。
今回の事件は 決してこの医療機関がとんでもなく悪徳であるとか違法であるとか大きな問題を引き起こしたか とは思えません。この事件のような美容医療トラブルはほんの一部なのです。
私の元へは看護師施術によって もっと悲惨なトラブルの相談も数多くあります。
氷山の一角といった表現が適当かと思います。
この事件で、今後 美容医療業者もしっかりと襟を正し 看護師ではなく医師が責任を持って美容医療機器を操作して直接、美容医療治療を実施するようなサポートやビジネスをお願いしたいと思います。このクリニックの医師や看護師をかばうわけではありませんが、この事件を教訓として担当医や看護師を叩くのではなく美容医療は慎重に受けるべき 医師が責任を持って美容医療を担当できるきっかけになることが大切であると思います。
女性を幸福にすることが美容医療の目的ですから。