Reading Time: < 1 minute 遺伝的にアポクリン汗腺の発達で外陰部のデリケートゾーンの臭いが気になって相談に来られる患者様も少なくありません。 いわゆる「スソガ」「スソワキガ」と呼ばれています。 デリケートゾーンの臭いは特に腹部の下の陰毛が存在する部位において、アポクリン汗腺からの分泌物が原因となります。 アポクリン汗腺は皮下組織に存在し、真皮には存在しないため少し治療が厄介です。 アポクリン汗腺から直接臭いが発生しているわけではなく、臭いの元となる分泌物が分泌され、それが皮膚の常在菌の一つであるアクネ桿菌という細菌によって分解されることで臭いが発生します。 このため、適切な治療は有効です。 スソガ・スソワキガの治療法としては、以下が挙げられます:
  1. 外用薬
  2. ボツリヌストキシン注射
  3. EL法                       これらの方法は確実な効果が期待でき、ダウンタイムもなく安全性の高い治療法としておすすめです。絶対に行ってはいけない治療:「ミラドライ」「ミラドライ」によるスソワキガ治療では死亡事故が起こったほどリスクが大きく、安全性や有効性も期待できません。  【ミラドライを用いたスソガ(陰部の体臭)治療における死亡事故について】 2022年5月に、日本法医学会の医学誌『リーガル・メディシン』に以下の事例が報告されました。 健康な20代女性が美容クリニックで陰部(VIO)に対してミラドライ治療を受けた後、壊死性筋膜炎と連鎖球菌性中毒性ショック症候群を発症し、治療から6日後に死亡しました。 ミラドライは本来、重度の腋窩多汗症の治療を目的として開発された医療機器であり、陰部への使用は適応外です。この事故を受けて、美容外科業界では適正使用を求める声明が発表され、適応外の部位への施術や看護師による施術の問題点が指摘されています。 また、このような事故は警察からの相談がなければ公にならなかった可能性が あり、美容医療における健康被害の実態や情報共有の問題が浮き彫りになっています。 ミラドライによるスソガ治療を検討されている方は、適応部位や施術者の資格、術後のケア体制などを十分に確認し、慎重な判断が求められます。 名古屋市内での問題点 残念ながら、最近名古屋栄に開業された美容外科クリニックの中には、派手な広告宣伝やSNSでのPRを通じて「ミラドライがスソガやスソワキガに有効である」と集客しているクリニックが存在します。 このクリニックの院長は、美容外科や美容皮膚科治療の経験が1~2年程度しかなく、内科医出身でワキガの治療や手術に関する経験は全くないと想定されます。さらに専門医資格も持っていないようです。 また、このクリニックでは看護師が施術を行い、「ミラドライが最も有効で他の治療は無効である」といった虚偽の事実を患者様に伝え、施術を行っているとされています。 ミラドライ被害者への影響 私はほぼ毎日、ミラドライの被害に遭われた患者様を診療しています。 ミラドライ術後には、以下のような症状が報告されています:
    • 強い痛みが長時間続く
    • 強い腫れが長期間続き、日常生活に支障が出る
    • 汗は減るが臭いが全く改善されない
    もともと多汗症の治療機器であるため、臭いに関しては効果がない場合が多いです。   安全で確実な治療法:「EL法」 このような状況にもかかわらず、ミラドライが本当にスソガ・スソワキガに有効で、ダウンタイムがなく安全性が確認できるのであれば、私は医師を辞める決意すら持っています。 しかし、安全で効果が確実な治療法は、看護師ではなく専門医が直接行う「EL法」のみであると自信を持ってお伝えできます。 このブログをご覧の皆様が、原発性腋窩多汗症というワキ汗の治療以外でミラドライ治療を選ばないことを心から願っております。