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悪徳美容外科医の例 ケース2
『ヒト成長ホルモン』
この言葉をご存知ある方は多いのではないでしょうか?
成人にどうしてヒト成長ホルモンが必要なのか?
【HGH】(ヒト成長ホルモン)は「脳下垂体」から分泌され、このおかげで私達の体は大きくなり、大人の体格までに成長します。しかし、15~20才をピークにして低下し始め、40才では20才時の40%、80歳では5%にまで低下します。この分泌低下が、老化の原因の一つであったわけです。
この10年ほどの 【抗老化医学】 の進歩により、この 【HGH】(ヒト成長ホルモン)の分泌を高める(若い頃のレベルに戻す)ことで私達の体に「若返り」の効果、つまり、体力・筋力・精力・免疫力の向上・肌のシミ、シワの減少・毛髪の活性化・気力の充実・記憶力の向上・・・
さまざまな「老化現象」の改善効果があることが臨床治験等により確認されています。
もう一つ、【HGH】(ヒト成長ホルモン)の大変重要な働きがあります。
私達の体の中でつくられるすべての「ホルモン」の中で最もパワフルであり、他のホルモン(エストロゲン・メラトニン・甲状腺ホルモン・・)の生産と分泌を促し、それぞれのホルモンレベルを最適に保つように働きかけます。
さてこんな素晴らしいヒト成長ホルモンですが、アンチエイジング治療として実際治療を受ける効果は大きいのでしょうか?リスクは無いのでしょうか?
ヒト成長ホルモンは日本では内分泌専門医がアンチエイジング治療を担うケースは少なく美容外科医や形成外科医が安易にヒト成長ホルモンを乱用している気がします。
私の患者様で東京のある美容外科クリニックで半年間で600万円の治療費用を支払いヒト成長ホルモンの注射を受けてアンチエイジング治療を行っていた65歳の男性がいました。
この治療をストップしてから、体験したことが無いような脱力感・疲労感に苛まれ仕事にも支障がでるようになりました。
何とかして欲しいとの訴えでしたが、なかなか改善することが出来ませんでした。
この美容外科では一切のリスクを説明せず、筋骨隆々になり性行為も若い男性同様可能という謳い文句で患者様へヒト成長ホルモンの注射を勧めていました。
このクリニックの経営者は、長者番付常連で医師というよりまさに経営者・ビジネスマンでした。収益第一主義。医療をビジネスとして捉え患者様本位の医療は行わない方針を貫いていたようです。
たしかに、このクリニックでヒト成長ホルモン注射を始めて数ヵ月後には明らかに腹筋が分かれているように筋肉が増強したのです。
ヒト成長ホルモン注射の長期投与には現在では、悪性腫瘍発生・増大のリスクを高める可能性、投与終了後の全身倦怠感などの副作用が考えられています。
内分泌専門医も慎重論を唱える中、美容外科医・形成外科医が不十分な知識でメリットのみを強調して行うアンチエイジング治療に私は大きな疑問を持っています。