2021/10/15
剪除法
日本でスタンダードなワキガ・すそわきが手術である剪除法
日本で行われているワキガ手術の中で最もスタンダードな手術が剪除法です。
ワキガはアポクリン腺が原因となって起こりますが、わきの下の有毛部の中心部分の1ヶ所から2ヶ所を、4~5cm程を切開し、皮下を剥離して皮膚を反転させ、アポクリン腺を露出させて確認しながら除去します。アポクリン腺を切除したら、皮弁が元に戻るようにタイオーバーで固定する方法が剪除法の一連の流れです。
期待される効果
剪除できた部分は効果が期待できますが、この手術は皮膚を剥がすという剥離手技が必要で、すそわきが・乳輪部などのワキガに対しては広範囲に皮膚を剥がすことが実際には不可能です。
このためどうしても効果は限定的になってしまいます。
ワキに関しましても、中央を中心としたエリアだけが剥離可能でワキの周囲まで皮膚を剥離することはできません。
もし皮膚を広範囲に剥離すると剥離した皮膚を元に戻すために圧迫固定をダブルタイオーバーという特殊な方法で行い長期の安静が必要となり外来の手術では困難で入院が必要となります。
このため効果は、少ない治療法です。
術後の経過
術後の経過は、皮膚を剥離するためどうしても長くなります。これは剥離した皮膚が母床に生着するためには血流が再行されるのに時間が必要になるからです。
強力な圧迫固定が必要でもし、しっかりした圧迫固定を行わないと血種形成が生じて血種ができた部位が血流不全となり皮膚壊死を起こす可能性があるからです。
最低でも1週間の圧迫固定が必要となります。
この時絹糸でしっかりと皮膚とガーゼを縫って固定するため糸痕が醜く残ってしまうこともすくなくありません。術後の経過は決して良好な症例ばかりではないのです。
傷が完全に治癒しても術後しばらくしてから粉瘤と呼ばれる皮脂が溜まったような塊のカプセルが生じて摘出手術が必要なケースも少なくありません。
手術以外に治療が無かった時代の治療であり 現在ではほとんど行われなくなっています。
剪除法の傷跡は術後の手術痕が目立ちますが、半年ほどすればある程度傷跡が落ち着いてきて、1年ほど経過すると目立ちにくくなります。ただし、傷跡がどうしても残りやすい治療法となるので、術後の手術痕が気になる方にはあまり向かないでしょう。
また、術後は肩関節をがっちり固定しすることからさらに固定期間も長くなるため、肩関節に不自由を感じる方も多いです。
ワキガ手術で剪除法を選んだ方が良い人は?
1回の施術のみである程度確実な治療効果を期待したい場合には手術も選択肢の一つといえますが、ダウンタイムや傷跡、術後のリスクを考えると現在の医療レベルや他の治療法と比較して優位な点が少ないためお勧めできません。
ただし、剪除法は保険適応となっておりますので保険診療機関では保険が効いて手術を受けることができるため治療費が比較的安価となり経済的負担が減ります。
ただし、手術は外来で行う場合は広範囲の剪除は不可能でありどうしても効果が悪くなります。 広範囲の剪除を行うのであれば入院施設がある医療機関で入院して安静固定を行う必要があります。
この場合は肉体的、経済的負担が大きく入院費用を考えると必ずしも保険診療だから安価であるとは言えなくなります。
おすすめできないわきが手術の剪除法がなぜ保険適用なの?
腋臭症という疾患は治療の対象となり保険適応になります。
過去には、外科診療科において切除法という皮膚を切り取り、取り除くといった手術が行われてきた歴史があります。 それから比較的侵襲が少ない剪除法が開発され保険収載されました。 疾患であるため治療には保険が効くのです。
剪除法で手術失敗するのは?
未熟な経験が少ない医師に手術を受ければ、効果が悪いだけでなく合併症のリスクも高くなります。
失敗の最大の要因は、医師の経験、スキル、熟練度が低い場合です。
剪除法でわきが再発はするのか?
再発の最大の原因は、臭いの元になる汗腺組織を完全に除去できていないことに尽きます。
これは皮膚をぎりぎりまで薄く植皮を行う時同様に削いでいく技術が必要になり、過剰に行えば皮膚壊死を起したり、術後の皮膚拘縮が起こり、極めて醜い傷跡が瘢痕として残ることになります。
その匙加減が難しく、できる限り再発を抑制するためには経験豊富な専門医に手術を受ける必要があります。
どのようにクリニックを選べばよいのか
基本的には医師の腋臭手術の症例数や経験年数が明確にわかる担当医に手術を受けるべきです。
クリニックを選ぶのではなく 手術を担当する医師を選ぶ必要があります。 有名なクリニックに経験豊富な専門医がいるわけではありません。
美容外科医だから、形成外科医だから剪除法も上手というわけではありません。 腋臭症の治療を見たことも経験したことも無い形成外科医や美容外科医も存在します。
医師の専門性や経験を十分認識してから手術を受けるべきです。
剪除法の料金はいくらぐらいが相場なの?
保険診療は、保険の自己負担割合で異なります。また、総額は通院回数や合併症の有無などでも異なってきます。
一般的に、保険診療の場合の手術費は、外来での手術では、
片ワキ 2-3万円程度
両ワキ 4-5万円程度です。
美容外科クリニックでは20-40万円程度と幅があります。
剪除法のFAQ
術後は痛いですか?
皮膚を剥がす手術になりますが、強い痛みはありません。しかし、出血が起こり血種が形成されるとかなり強い痛みが生じます。
麻酔はどんな麻酔を行いますか?
局所麻酔での手術となります。エピネフィリン添加のキシロカインを局部に注射して麻酔を行います。
術後はすぐに日常生活が可能ですか?
術後の固定が必要となりますので術後3日間は通常の動きもしないよう安静が必要、4日目以降も最小限の動きだけ1週間目から通常の日常生活は可能となります。
本来は入院が必要な手術になり原則 入院手術になります。
手術後のトラブルや後遺症などはありますか?
一番多い合併症は、出血による血種形成です。これが起こりすぐに処置しないと皮膚壊死が確実に起こります。感染は稀ですが術後しばらくしてから手術部位に粉瘤や毛嚢炎が生じることがあります。
確実に臭いは無くなりますか?
残念ですが、大変な手術の割には、完全に臭いが無くなることはまずありません。これは皮膚が剥離できない部位は全く治療できないため完全に臭いの元であるアポクリン汗腺が残存するからです。
何歳から手術可能ですか?
臭いが気になる年齢は個人差がありますが早い方で10歳くらいから小学生4-5年生からです。
手術は負担が大きいため高校生以降になってからになります。
執筆者
クリニック名 | さかえクリニック | ||||||||||||||||||||||||||||||
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住所 | 〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦3-5-21 錦HOTEIビル2F | ||||||||||||||||||||||||||||||
院長 | 末武信宏 | ||||||||||||||||||||||||||||||
わきが・すそわきが治療費用 | ■わきが・多汗症
※EL法は、別途血液検査 8,000円(税別)とニードル代(3回で20,000円(税別))が必要です。 ■すそワキガ
※EL法は、別途血液検査 8,000円(8,800円)とニードル代(3回で20,000円(22,000円))が必要です。 ■チチガ(乳輪ワキガ)
※EL法は、別途ニードル代(3回で20,000円(22,000円))が必要です。 ■ケツガ(お尻ワキガ) 別途見積もりが必要になります。 ■ムネガ 別途見積もりが必要になります。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
院長プロフィール | 順天堂大学医学部 非常勤講師 日本美容外科学会認定専門医(第219号) 第88回 日本美容外科学会 会長 プロボクシング トレーナー JBC認定(NO.31532) 国際抗老化再生医療学会 認定指導医 一般社団法人 先端医科学ウエルネスアカデミー(AMWA)副代表理事 ┗https://www.amwa.jp 一般社団法人 日本視覚能力トレーニング協会 監事 トップアスリート株式会社 代表取締役 ┗http://topathlete.co.jp | ||||||||||||||||||||||||||||||
WEBサイト | https://sakae-clinic.com https://sakae-clinic.com/wakiga |